大嫌いの裏側で恋をする
「い、いいえ、す、すみませ……」
「吉川は、どうした? 休みか?」
熱くなってた身体が途端に、さっと冷えてく。
ううん、私の態度が悪かったんだから当たり前だけど、でも。
会話の流れをぶった切られて、聞かれたのは吉川さんのこと。
ズキッとわかりやすく胸が痛む。
ああ!もう嫌だ、嫌だ!
吉川さんのこと羨んだり、そんなバカみたいなことしないで強くなろうって、頑張ろうって決めたのに。
(……でも、さすがに仕事以外のことは)
まだまだ吹っ切れそうにもない、かもしれない。
「はい、風邪を引いたってメールきてました。 私のミスで先週無理させたからって返したらソッコーで電話きて怒られました、朝」
「はは、なんだそりゃあいつらしいな」
ズキっと、また痛む。
いやだから、こんなに頻繁に細かく反応しなくてもいいんだってば。
と、いくら恨み節を奏でたところでどうしようもない。
『あいつらしいな』と、笑った顔の何と優しいこと。