大嫌いの裏側で恋をする
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「ねえ、石川ちゃん。 ちょっと聞きたいんだけど」
風邪で昨日休んでいた吉川さんは無事に復活して、お弁当の唐揚げをお箸で持ち上げて私を見た。
「なんですか?」
「高瀬くんと何かあったの?」
「んぐ……!?」
呑気に啜ってた素麺を吹き出しそうになったのを、持ち堪え口元を拭う。
「な、何かって、なん、何で」
「いや、今朝2人のやり取り見ててさ高瀬くんよりも、寧ろ石川ちゃん」
「わ、私!?」
上擦った声で返した私に、うんうんと頷き吉川さんはいう。
「いつもの覇気がないというか、目が泳いでるというか、なんというか。 真面目に喧嘩でもしたの?」
私が休んでる間にさぁ~。
なんて、心配そうに言いながら唐揚げを頬張ってモグモグと?を動かしながら。
心配そうに私を見て。
「辞めたくなったとかじゃない?」
「ち、違います違います!」
「そっか、だったらいいんだけどね」
心配そうな顔して、なのに深くは聞いてこないで。
吉川さんは大好きな唐揚げをもぐもぐしてる。
(ほんっと、良い人なんだから! 好き!!!)