大嫌いの裏側で恋をする



***

「ねえ、石川ちゃん。 ちょっと聞きたいんだけど」

風邪で昨日休んでいた吉川さんは無事に復活して、お弁当の唐揚げをお箸で持ち上げて私を見た。

「なんですか?」

「高瀬くんと何かあったの?」

「んぐ……!?」

呑気に啜ってた素麺を吹き出しそうになったのを、持ち堪え口元を拭う。

「な、何かって、なん、何で」

「いや、今朝2人のやり取り見ててさ高瀬くんよりも、寧ろ石川ちゃん」

「わ、私!?」

上擦った声で返した私に、うんうんと頷き吉川さんはいう。

「いつもの覇気がないというか、目が泳いでるというか、なんというか。 真面目に喧嘩でもしたの?」

私が休んでる間にさぁ~。

なんて、心配そうに言いながら唐揚げを頬張ってモグモグと?を動かしながら。

心配そうに私を見て。

「辞めたくなったとかじゃない?」

「ち、違います違います!」

「そっか、だったらいいんだけどね」

心配そうな顔して、なのに深くは聞いてこないで。

吉川さんは大好きな唐揚げをもぐもぐしてる。

(ほんっと、良い人なんだから! 好き!!!)
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