あの宙に舞って逝った一枚の羽。
美波。こんな時間て、まだ12時だよ。いつの間にか、私は周りの人達を苦しめていたんだ。

「はぁ……っ、私は何でこんなんなんだろ。生きてるだけでも苦しいんだよ……!いっその事、もう消えたい……。」

そんな言葉は病室に虚しく響いて消えるだけだ。分かってるよ。私がいずれ死ぬ事は分かってる。死にたくない。いつだってそう思ってる。でも、今は消えたい。矛盾してるよな。

「いっぱい泣いたな…。顔洗いに行こ。」

……え、これ、本当に私……?嘘、嘘でしょ……?微かだけど前よりかはずっと痩せてる。これって、やっぱり病気が進行してるんだ。やだ、やだよ。こんなの私じゃ無いよ。誰か、誰か助けて……

「…………陽介くん…っ!」

私は陽介くんに会いたくて、声が聞きたくて、無我夢中で走った。病院内を走り回った。

ーードンッ!

「あっ……、ご、ごめんなさい」

「すみませんって…え、田中?」

そこに居たのは、陽介くん。君だった。今一番会いたかった人。

「え、え、どうした?泣いてるけど…」

「陽介くん……っ!」

その瞬間、私の目から大粒の涙が零れた。
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