あの宙に舞って逝った一枚の羽。
「ダメよ?」

お母さんは、綺麗で温厚な人だけど怒るととても怖い。

「うん……わかった。」

私がそう言うと、お母さんは納得したようで明日の仕事が早いからと言って帰ってしまった。

「お母さんには、心配かけたくない。…でも、ちゃんとお礼しなきゃダメだよね。」

そう言って私は病室を出ていった。



「あのー、すみません。名前はわからないんですけど、さっき私を助けてくれた内科の先生がいるんです。それでお礼をしたくて…」

「すみません、名前がわからないのでは…」

そう言って申し訳なさそうに受付の人が言いかけた時…

「あ、それ僕ですよ。」
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