君のくれた奇跡。

「、、相川 結鈴さーん、診察室へどうぞー!」

はあ。

診察……か、、

嫌な思い出しかない診察室に、私は渋々入った。


――ガラッ。

気分のせいで、更に重く感じるドアを開けると、あの先生が居た。

「、結鈴さん、大事な報告があります。」

先生は、暗い顔で言った。

私は、先生の言いたいことが、嬉しい報告では無いことを悟った。

「実はですね、入院が、必要になって来ます。…
肺が弱るのを防ぐ薬を投与したり、検査をするにあたって
早めの入院が大事なんです、」

「急ですが、明日から入院をして頂きたいです、」

私は分かっていた。

多分、病気が結構進行してしまっているんだと。

お母さんが泣きながらこの病気を調べている所を見てしまったから。

全部は分からなかったけど、ステージが進んでるってことを呟いていた。

「そうですか、…分かり、ました、」

心の準備は出来ていたから、私はすんなりと受け入れた。

「、、じゃあ、着替えとか取ってくるわね、!」

お母さんは私がすぐに答えたのにびっくりしていたけど、すぐに優しく笑ってくれた。

優しいなあ。流石私のお母さんだよ…、。

そんなことに浸っているのを遮ってくるように先生は現実に引き戻してくる。

「では、早速検査をしたいので、こちらの方に着替えて検査室までお願いしますね」

「はい、」

差し出された病衣は、私の嫌いな病院の匂いで、私は吐き気が込み上げて来た。

いや、、これは、病衣のせいじゃない。病気だ。

私は抑えられない吐き気から、そう感じた。

もう、無理、、

「、!!」

限界を感じて、トイレのある方に走った。

「うっ、、」

便器に勢いよく吐き出したものの匂いに、また吐き気が込み上げる。

「おえ、、っ、う、ううっ」

「……、結鈴さん!?」

私の異変に気付いた看護師さんが、駆け付けてくれた。

「吐き気が、、」

すると看護師さんが背中を摩りながら袋を差し出してくれた。

「ゆっくり、戻りましょうか、」

そしてしばらく吐き続けて、やっと吐き気が治まった頃には

お母さんがいて、泣きそうな目で見つめていた。

「すみません、、」

私の喉からやっと出て来た声は、掠れていて、本当に、病人みたいだった。


――、いや、病人なんだよね。私はもう。


でもそれは違和感ばっかりで。

でも、受け入れないといけないんだ。

茅ちゃんが言ってくれたみたいに、病気と向き合わないと。
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