君のくれた奇跡。

――、♪


スマホの大きな着信音が鳴り響く。

着信は、七瀬くん。出そうになったけれど、

昨日決めたことを思い出して、あえて電話は取らなかった。

「もう起きてるのに、」

私は、昨日の夜早く寝たせいと、早朝の咳で早く目を覚ましていた。

「はあ。」

憂鬱な気分で髪をサッととく。

パッとお弁当を作り、一応、卵焼きは多めに入れた。

でも、あげるの…?

私の頭の中で、色々な考えが浮かぶ。

「関わらないって、決めたし、」

私は、リボンをつける気にもならず、リボンを付けずに学校へ行った。


――、ガラッ。


重いドアを開けると、そこには大体のクラスメイトが来ていた。

でも、桜優と七瀬くんがはまだだな、、

、、考えないようにしなきゃ、

「おはよう!」

「あ、うん…」

笑みを浮かべて挨拶をしてくれる学級委員長の子にも、私は苦笑いしか、出来なかった。

嫌な気分で準備をしていると、勢いよくドアが開いた。


…桜優、だ、


「あ、結鈴!!おはよう!」

「………。」

「結鈴、?」

「何?」

私は、心配してくれている桜優に、思わず強気な口調で返してしまった。

「どうか、した?大丈夫…?」

「何も?私は大丈夫だよ。」

私は、少しだけ作り笑いを浮かべてから、

極力話さないように過ごした。


―、、ガラッ。


ドアが開く音と共に、笑った顔の彼が入ってきた。


、、七瀬くん。


「お、相川さんおはよ!……あ、卵焼き!」

「、、」

私は少し立ち止まってから、俯いた。

「、、そっか!無理言ってごめんな!、」

七瀬くんは悲しげに笑って、自分の席に向かった。


――、どっちみち、迷惑掛けてるじゃん。


私、何してるんだろう。

そんなことを考えているうちに、咳が出始めた。

「、げほっ、げほげほっ、、」

「結鈴、、」

「相川さん?」

みんなが私を見る。でも咳は止まらない。

「げほっ、…げほ…、大丈夫だよ。」

私は少しだけ微笑んだ。

「大丈夫じゃ、、ないでしょ?、最近よく咳してるよ、?」

「相川さん、本気で大丈夫か?、」

そんな声と、視線が少し私に集まる。

「ただの風邪だよ、」


――、あれ?


何故か、目にいっぱいの涙が溜まっていた。

何で、、泣いてるの?、、

私は、涙が零れ落ちる前に、教室を急いで出た。

「桜優、!、」

そんな声も聞かず、私はひたすら走っていた。
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