独占的メルティー



さっきまでのやわっこい雰囲気から一転、
いつの間にか真顔で書類の判子押しを始めていた。


.....切り替えはっや。



「....うそうそ、引かれねーって。カワイーって言ったら、なる笑ってくれるよ」


「....雫、成海に言ったことあるの?」


「え、なにを?」



ぴたりと手の動きを止めたツキが、静かに顔を上げる。


つん、となぜか冷たい空気を纏っているから、おもわず首をかしげると。



「雫がかわいーって言ったら、成海笑ったの?」


......あ、そゆことね。



「ちがうちがう。一般論のハナシ」



自分は言えないけど、他人がなるに''カワイイ''って言うのはイヤだ....ってこと。



....そ、って小さな声で返事をして、再び判子押しを再開。


本人は自覚あるのか知らねーけど、微かに口元は弧を描いていた。



あー.....もう、ほんっとに。



─────めんどくせー.....


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