独占的メルティー
:
「会議の資料、コピー終わりました」
出来上がったものを差し出す。
琥珀色を縁取る二重を細めたそのひとは、ゆっくりと視線を上へと持ち上げる。
そうして、ぱちり、と交わる。
「....そこ、置いといて」
「はい」
喉のあたりが変に震えて、資料ひとつを置くことさえ慎重になってしまう。
.....いつもおもう。
今、この瞬間が私にとっては、なによりも──────
「成海」
「っは、はい.....!」
上ずった声。
このひとに名前を呼ばれるだけで、私はいつも、大げさに反応してしまう。
「資料作成終わったなら、もう帰っていい」
「わかりました。....では、失礼します」
ぺこり、と軽く頭を下げて、艶やかな琥珀色から背を向ける。
自分のデスクへと戻り資料を片付けて、荷物もまとめて。
目線は下げたまま、部屋を出る....──────
「....っわ、」
「....あ、なるだ」