独占的メルティー
【みやside】
「じゃあ、えっと、失礼します....?」
────重いドアの閉まる音のあと、ぱたぱたと遠くなっていく足音
「....あれくせだから、ほんと」
だるそうに顔を歪める浬に、ばりばりと殺気を放つ男が一名。
あーあ......、冤罪なのに気の毒、....ま、いつものことだけど。
「ねー、ツキ。おまえカオやばいよ?ひと殺しそー」
「......浬、さわった?」
俺は完全スルーで、下からすくうように浬を見つめる。
.....キャラ崩壊とか、そーいう次元じゃねーの。
「さわってない。寸止めした」
「ツキのからさわったらコロスオーラ出てたもんね。あとうらやましそーにしてた」
「........うらやましーけど、なに、」
ぐだっと机に突っ伏して、はあ、とため息をこぼす"ヤツ"
さっきまでの威厳漂う風格どこいった?
我が校きっての優等生、品位もあって顔よし頭よしの完璧な生徒会長─────"琥珀色の王子さま"なんて、こいつの表面にすぎないことを俺は知っている。
「....あのさぁ、もうそろそろコクれ?さすがにヘタレ極めすぎだわ」