わたしのなまえ
ポカンとしている和希に、
「私、和希のことが好きなの」
もう一度、はっきりと伝えてやった。
今自分がどんな顔しているのかなんて、全然わからないし、顔を作るほどの余裕はない。
いいよもう、なるようになれ。
そもそも、困らせてやろうと思って告白したのだ、今さらどうだっていい。
「えーっ?! ……ちょっ、それマジで言ってんの?!」
和希は、ちょっと大袈裟過ぎるくらいに驚いてみせた。
好きなんて日常茶飯事的に言われてるくせに、あり得ないくらいびっくりしてるから不思議だ。
相手が私だから?
私が和希のこと好きなの、そんなに意外?
てゆーか、本当に全く気づいてなかったんだなあと思うと、かなり切ない。
「……ほんとに? 本気で言ってる? 冗談じゃなくて?」
「うん」
「ルリ、俺のこと、その……好きなの?」
「うん、好き。前からずーっと好き」
これだけ親しい私に告白されたら、さすがの和希も困るよね?
うん、困ればいいよ。
そう思いながら3度目の「好き」を伝えると、
「…あー、うん……ありがと」
和希は耳まで真っ赤にして、照れくさそうにゴニョゴニョ言った。
……なんだこのリアクション。
てゆーか、この人誰?
ほんとにあのモテ男の江藤くんですか?
こんな和希、見たことない。
……いや、それより。
告白の返事、ありがとだけ?
それは困る。
フるならちゃんと、フッてくれ。
それとも和希は、相手が私でも、2つ返事で簡単に付き合うの?