『未成年』なんていらない

「成瀬、傘持ってるか？多分この後大降りになると思うから気をつけて帰れよ。」

「は、はい。傘あるんで大丈…」

ゴロゴロゴロ…

ひなりが大丈夫ですと言いかけた時、外から微かに雷の音が聞こえた。
その音を聞いたひなりの心臓はどくんと強く脈打った。
そして、

ドカーーンッ

鼓膜が破れそうになるくらい大きな雷の音が理科室に響いた。

あまりの恐ろしさに、ひなりはその場に立ち尽くしてしまった。

「…今のヤバかったな。雷がやむまで学校で待機した方が良いかもな。…成瀬？大丈夫か？」

窓の外を見ていた閨川が、ひなりの方を向いて不思議そうな顔をした。
ひなりは閨川に呼びかけられ、喉の奥からなんとか震える声を絞り出した。

「はっはひそうですよね今は外に出ちゃダメですよね今外に出てく人なんて人としてどうかと思いますよね雷なんて怖くないですよ？怖くないですけど…でも常識的に考えて…」