『未成年』なんていらない
涙目になりながら震えた声でひなりは言った。

閨川はしばらく黙っていたが、やがてひなりの背中を優しくさすってくれた。

「大丈夫だよ成瀬。室内にいたら雷にうたれたりしないから。それに、多分すぐにやむと思う。」



『大丈夫だよひなりちゃん。盗られた玩具は俺がこっそり取り返してくるから!』



閨川に励まされ、雷も徐々に鳴らなくなり、ひなりは少しずつ落ち着きを取り戻してきた。

「もう大丈夫か?」

「はい…ありがとうございます…それと…すみませんでした…」

ひなりは閨川からすっと離れたが、なんだか胸が痛かった。
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