『未成年』なんていらない

しばらくの沈黙の後、音咲ははっと我に帰ると、再び冷たい口調で言った。

「今私が話したこと、クラスのみんなに話してもいいわよ？まぁ、荒野と同様誰にも相手にされないだろうけど。…クラスメートの信頼を取り戻したかったら、閨川先生は諦めなさい。」

ひなりは何を言えばいいかわからず、ただその場に立ち尽くしていた。
やがて音咲は教室の鍵を開け、振り向いていつものヘラヘラした外面で言った。

「高校生活は１回しか無いんだよ？早くみんなと仲直りしなさいね。」

そう言い残し、音咲はひなりを置き去りにして第2音楽室を後にした。