『未成年』なんていらない
「…あ、あの、先生っ…」

教科書を届けたらすぐに帰るつもりでいたにも関わらず、気がついたらひなりは閨川を呼んでいた。

「ん?」

実験の手を止めずに短く返事をした閨川。
さっきまでとは違い、ひなりはそんな閨川を真っ直ぐに見つめた。

「わ、私…私はやっぱりれいま先生のことが好きですっ…!」

ひなりの震えた声が静かな理科室に響いた。
閨川は実験の手を止めると溜息をつき、ひなりの方を向いた。

「成瀬。前にも言ったが成瀬のその気持ちには答えられない。…悪いな。」
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