mimic
ええと、先週たしかに唯ちゃんと式場を見に行った。
でも、ただガーデンを見学させてもらったってだけで、実際にプランナーさんの話とか聞けて接客されたわけじゃない。
というか唯ちゃんは、仕事のネットワークを広げたくてわたしとの結婚式を口実に来たって感じだった。
構ってもらえなくて不満をあらわにしたわたしに、時間が取れたらまた今度ゆっくり来よう、と唯ちゃんは言った。わたしは渋々了承した。
あのとき……?
「あ!」
一緒に歩いた素敵なガーデンの回想をしていたら、不意に思い出した。
「もしかして、あのときの庭師さん……?」
高い梯子に上って、木の剪定をしていた。
生成りのティーシャツの袖をたくし上げて、逞しい腕で額の汗を拭っていた。
「……そうです」
合点がいき、やっと立ち上がったわたしに相手はにっこり頷いた。
ピンとこなかったのは、着ている服装の印象が全く違うから、なんだけど。
「良かった、思い出してもらえて」
細める瞳に面影があった。
あのときも、庭仕事をしていたときも、太陽に目を細めていた。眩しさを堪えるように。
なぜだか目を奪われていたわたしに気づいた唯ちゃんが近づいて行き、たしか、『専属の庭師さん?』とか、『小夏の家もやってもらったら?』とか言ったような気がする。
まさか……。
そ、それで?
「菅野唯彦さんに頼まれて、庭の手入れに来ました」
「え!」
飄々と言った相手に、わたしは両目を見開いて見せる。
「こ、こんな夜に、ですか?」
すると一拍間を置いて、「ですよネ。」と同調された。
でも、ただガーデンを見学させてもらったってだけで、実際にプランナーさんの話とか聞けて接客されたわけじゃない。
というか唯ちゃんは、仕事のネットワークを広げたくてわたしとの結婚式を口実に来たって感じだった。
構ってもらえなくて不満をあらわにしたわたしに、時間が取れたらまた今度ゆっくり来よう、と唯ちゃんは言った。わたしは渋々了承した。
あのとき……?
「あ!」
一緒に歩いた素敵なガーデンの回想をしていたら、不意に思い出した。
「もしかして、あのときの庭師さん……?」
高い梯子に上って、木の剪定をしていた。
生成りのティーシャツの袖をたくし上げて、逞しい腕で額の汗を拭っていた。
「……そうです」
合点がいき、やっと立ち上がったわたしに相手はにっこり頷いた。
ピンとこなかったのは、着ている服装の印象が全く違うから、なんだけど。
「良かった、思い出してもらえて」
細める瞳に面影があった。
あのときも、庭仕事をしていたときも、太陽に目を細めていた。眩しさを堪えるように。
なぜだか目を奪われていたわたしに気づいた唯ちゃんが近づいて行き、たしか、『専属の庭師さん?』とか、『小夏の家もやってもらったら?』とか言ったような気がする。
まさか……。
そ、それで?
「菅野唯彦さんに頼まれて、庭の手入れに来ました」
「え!」
飄々と言った相手に、わたしは両目を見開いて見せる。
「こ、こんな夜に、ですか?」
すると一拍間を置いて、「ですよネ。」と同調された。