mimic
「__海月って、どこに住んでるの?」


行為のあと、海月はグラスにワインを注ぎ、ソファの上で膝を抱えるわたしに手渡した。


「え? どこって……」
「出身は?」
「ええと、」
「ご家族は?」
「、両親と」
「今更だけど、幾つなの? 何座? 何型⁉︎」
「……」


ソファの下に落ちていたわたしの履歴書を拾い、「なんなら、書こうか?」と言って海月は、服を着ようとしないわたしの背中に自分のシャツをかけた。


「いいね。書いて書いて」
「じゃあ、ここに……、」


海月は履歴書の住所の欄を指差して続ける。


「この家の住所、書いていい?」


は……?


「こ、ここの?」


突然の申し出に、口を開けぽかんとする。


「一緒に……ここに住むの?」
「うん」


肩からするりとはだけたシャツを、海月がそっとかけ直した。
そして目の前にしゃがみ込み、穏やかな声で言った。
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