First story
右から3番目、前から2番目。


“12番、都秋 澪”

そう書かれたプレートが置いてる澪の机に鞄を置くと、咲希も同じように澪の斜めの机に鞄を置く。




席近くてよかった、と思った瞬間、数人の男子が教室に入ってきた。




「うわ、澪じゃん! 周防(すおう)も同じクラス? 最悪なんだけど! マジで!」


周防というのは咲希の苗字だ。


澪たちにそう言って ふざけたように笑ったのは 去年同じクラスだった タクミ。

“拓実”って漢字は嫌いらしいから 澪の頭の中でカタカナに変換されるタクミは、小6の時に1番仲の良かった男子だ。




「なーに言ってんの! 嬉しいくせに?」

「嬉しくねーけど よろしくしてやるよ」


「はいはい、よろしくー。あははっ」




タクミの名前が 澪のとなりにあったことは気づいてた。

でも気づいてない振りをした。




< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop