陽空〜甘酸っぱい恋の欠片見つけました~
第一章

卯月~始~

毎朝の日課。私が必ずしてること、それは


「朔ー…いい加減に起きてくれませんかね」


「お前、なんで毎朝いる訳。」


「おばさんに頼まれたから」


高校2年の春。始業式当日。マイペースな朔を私は起こす。ま、これは毎日やってる事なんだけど…遅刻しそうなんだよね、そのせいで。


「遅刻するよ、早く支度しなよ」


「お前が邪魔で支度できねーから」


私、原田芽衣は幼馴染である生島朔を起こすことから始めるのが私の日課。
どんな時も一緒にいたからか、それが普通でも玲香からすれば、おかしいってさ。でもこれずっと続けてるから朝起きたらだいたい無意識でも行くんだよね。朔の家に。


「ん、行くぞ」


また今日から学校が始まる。朔のこと好きになってからもう4年目かな…いやもっとかな未だに告白なんて出来ないまま…
いっそ、朔が好きになってくれないかななんてね。嫌いとか言われたらどうしよう、この先生きていけない。


「前見てねーとぶつかるぞ」

「え?あ…ごめん、ありがとう」


「お前に怪我されても困るし。運ぶの面倒だし、重いし。」


「最後は余計。」


今日も普通だ。何も変わらない日常
それが少し寂しかったりもする。朔は私の事好きじゃないもんね、仕方ないけど。
考え事しながら歩いていた、我に返って朔を見つめる。ふと、目に入ってきたのはそれまで持っていなかったものだった。


「朔、そんなストラップ持ってたっけ」

不意に話しかけると、思い出したかのように見せてきて


「あー。これ?先輩から貰った」


3年生のマネージャーからだって言ってた。部員はみんな貰ったそうだ。
ホッとしてる自分に、ツッコむ。


「そっか、大会近いのもそうだもんね
それに、朔はメインだし。」



「まぁね。」
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