陽空〜甘酸っぱい恋の欠片見つけました~
「芽衣、行くのか」

「あ、朔!うん、休憩もらえたから」

「んじゃ、これ着とけ…その格好で出歩くな」


パーカー着せられて周りの視線が…もう、こうなるのは朔と幼なじみの時点で慣れっこ。仕方ないことだもん。かっこいい朔といるんだから。


「俺も行くから、ちょっと待っとけ」


文化祭、お前とまわる。って耳元で言ってくれた朔は、去年追いかけ回されて楽しめなかったって言ってた。私といれば楽しめたかもなぁって言ってくれたんだっけ。


「お待たせ。行くか」


女子達は、なんでって顔してた。朔はその視線を感じとったのかわざと見えるように手を繋いできた。朔は笑って恋人なんだから手くらい繋ぐだろって


「俺が宣言すればお前を守ることになるかな逆に大変な目に遭わせそうで怖いけど」

「無理しないで、いいから。」


朔は通る度に女子にここどうですか、食べませんかって。その度に私はここにいていいのか、一人で見て回った方がいいんだろうって思う。


「ごめん、朔」

朔にも聞こえるかどうかの小さい声で繋がれてる手を外して1人で歩き出したあの現場を見てるのが辛くて。もう、いたくないって思って

「何してるんだろ」

1人呟いた。楽しそうな声が沢山飛び交う廊下1人歩いて突き当たりの空き教室窓の外を眺めながら。朔が囲まれるのなんて慣れてるはずで辛いのも何度も繰り返し経験したのにどうして涙はこぼれるの?

「あれ、ここ使って…って原田?」

「っ!佐野くん?」
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