夏のソラの雪
思いがけず居た先客に、俺はちょっと肩透かしを食らったような気持ちになる。




せっかく一人で寝れると思ったのに……。




「授業始まってんぞ」




「愛与っ」





背後から声をかけた俺に振り返った顔は、



やっぱり例の鼻の付け根をくしゅっとさせて笑顔だった。





柵の真ん前に座り込んだ真雪は、隣に座った俺を嬉しそうに見つめている。




「お昼寝するの?」



「……うん」




欠伸をしながら体を倒した俺に、




「気持ち良さそうだねっ。わたしもしてみたいよ」




体をこちらに向けた真雪が顔を覗き込んでいた。





「何それ? 誘ってんの?」





無防備に顔を近付けたりするから、ちょっとからかってやる。




俺の顔の前で揺れる緩い二つ分けを軽く引っ張って、悪戯っぽく表情を窺った。




驚いて目を丸くしてるのは予想通り。




しかし、




「愛与、わたしが誘ったら……受けてくれるの?」





ビー玉の瞳にじっと俺を映した真雪の、少し冷たい指が俺の頬に触れて、





俺は思わず息を飲んだ。
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