夏のソラの雪
シンプルな部屋に、淡い水色のシーツを覆った大きめのベッド。




そこに体を沈めた真雪の瞳が、上に四つ這いで被さる俺を見つめている。





直視したらきっと……俺の気持ちは鈍って、手が止まってしまう。




だから、




ひたすら視線をそこから逸らして、真雪の肌を求めた。





黄色の下着の影から見える鈍く光る傷跡。




それをじっと見つめて、ゆっくりと息を飲んだ。




「愛与……。やっぱり、やめよ?」




昨日はここで動けなかった。




苦笑いを浮かべ、




身を縮めて隠してしまおうとする真雪の腕を押さえる。




「っ愛与」




遮るモノが無くなった真雪の胸元に、そっと唇を当てた。




真っ白な肌に似つかわしく無い傷跡を、唇でなぞる。





そして、出来る限り優しいキスを落とした。





さっき、真雪にキスをしてわかったこと。




キスが心地良いって感じるのは、





相手が愛しいから。




だから……、





俺は、真雪にキスをする。




< 25 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop