夏のソラの雪
「飽きないな。珍しく」




昼休み終了を知らせる予鈴で教室に向かっていた俺に、後ろから声がかかった。




振り返れば、にっと笑って片手を上げる泰希が居て、





「愛与が執着するなんて……そんなにイイ女なのか?」




茶化すような口調で言いながら、俺の隣に並んだ。





誰かに俺の恋愛事情を話す気などサラサラ無い。




ただ、泰希のこういう勘はやたら冴えてる。




今までもそうだ。



一言だって言ってないのに、




女とヤッた次の日は、俺の満足度を当ててきたり……。




「この愛与を改心させちゃうなんて……愛って偉大だな」




「はいはい……」




なんて言ってる本人は、別れた彼女に未練引きずってる一途野郎だ。




お互いそんなとこまで干渉してるワケじゃないから、どんな女なのかは知らないけど、




泰希を放っとかない女が一杯居る中で、




未だに想ってるくらいだ。




さすがに、




「……おまえも見つけたら?」




なんて言いたくもないお節介の一つも言いたくなる。
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