夏のソラの雪

真雪のキモチ

しつこい風邪をこじらせて入院したせいで、単位が足りなかった。




二回目の三年生は、不足単位を習得するだけで良いから楽チン。




周りは知らない元後輩たちばっかりだけど、




体のことを心配した学校側が親と相談して、妹の知海とクラスメートになった。



だから、心細くはないかな。



それに、




休み時間じゃないのに屋上に行っても怒られない。




……居ても居なくても良い存在。




病弱だから気を遣ってくれる周りの優しさは……腫れ物を触るようなもの。




周りに気を遣わせて、




授業サボっても怒られない、





こんな特別扱いばっかり……。




寂しかった。




一人じゃ何も出来ない自分が嫌で、




屋上に逃げるばっかり……。




ここから見下ろすグラウンドで、




やたら目立つ茶髪を弾ませながら、




ボールを自分の思い通りに駆け回ってる男の子。




「愛与っ!! 顔洗って出直して来い!!」




愛与。




知ってるのは名前と顔と、




プレイボーイな噂、そして……、




サッカーが上手なこと。




< 44 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop