夏のソラの雪
「メグちゃんの手は、大きいね。……愛をいっぱい持ってる手だよ」




生まれたときから、人より少しだけ大きな手をしていた。




それを見たばぁちゃんがつけてくれたのが、




“愛与”って名前らしい。




与えてもらった愛をしっかり手に掴み、その愛を与える。





小さい頃はわかんなかったけど、
ばぁちゃんがつけてくれたってだけで嬉しかったのを覚えてる。





女の子みたいな名前だって、バカにされることもあったけど、




ばぁちゃんがつけてくれた名前をバカにされるのが嫌で、





バカにされないように、勉強もサッカーもとにかく頑張った。





俺は、ばぁちゃんのつけてくれた名前に応えられるような人間になりたかった……。




だから、




ばぁちゃんの目が見えなくなったって、ずっと……俺の手が守るって決めてた。




でも、





共働きの両親と、高校生になる俺に迷惑をかけないようにって、




ばぁちゃんは老人ホームに移ってしまった。
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