夏のソラの雪
愛する資格
「今日は来たんだ」




屋上の入り口に立つ知海を振り返った俺に、




冷静な声色が静かに響いてきた。




言葉のニュアンスからして、俺が何日もここに来ていないことをコイツは知っている。




それだけじゃない。





俺と真雪の間にあった出来事も、全部知ってるハズだ……。




黙って知海を見据える俺に、





「真雪が何時から来てないか知ってる?」




こちらに歩み寄りながら、尋ねてくる。




その顔は、




俺が答えられないのをわかってる、試すような含みのある表情だった。





「ハッキリ言えよ。言いたいことあんだろ」





出来る限りイライラを抑えて、知海の顔色を窺った。




「……真雪のこと、拒絶した癖になんで今更ここに来たりするの?」





俺の態度が気に食わなかったのか、知海の口調もトゲトゲしくなっていく。





「……真雪に会いたいから」




「えっ?」




小さく呟いた俺を、怪訝そうに見つめる知海。





恥ずかしいとか、
カッコ悪いとか言ってられない。




「真雪に会いたいから来たって言ってんだよっ」




< 60 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop