夏のソラの雪

知海のキモチ

真雪との帰り道。




傘でお互いの顔が見えないせいだろうか、どちらとも無く無言になり、




規則的な雨音だけが耳にこびり付いた。




泰希と真雪のことを知って、アイツはどんな反応をするんだろうか……。




アイツが真雪に本気で惚れてるのだとしたらきっと……、




傷付いて怒るんだろうな……。





そしたら真雪は、自分を責める。





愛与を傷付けてしまったって……。




そして、自分自身もまた傷付く。





泰希に出逢って、



弱い体のせいでいつだって諦め半分で自信なさげに笑ってた真雪が、





毎日幸せな顔して楽しそうに笑ってた。




それが嬉しかった。




でも、




泰希は真雪を受け入れきれなかった。




そして、




真雪から楽しそうな笑顔が消えた……。



そんな中で、




泰希を恨むべきではないことを教えてくれたのは、真雪だった。




泰希との出逢いが無ければ、




自分は誰かを愛しく感じる感情を知ることは無かった。




そして愛しさ故に、




傷付き、悲しむこともきっと知らなかった、って……。



< 66 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop