夏のソラの雪
薬で眠った真雪の頬をそっと撫でた。
熱のせいか、少し上気したそこには涙の跡。
少し前に出した熱が尾を引いて、真雪は高熱で倒れてしまった。
いつもより早いテンポの呼吸。
ホントは体、辛かったのかもしれない……。
愛与に逢ってから真雪には、色々なことがあったから……、
きっと心の変動に体がついていけなかったんだ……。
愛与が絡むと真雪は彼しか見えない。
愛与は、今の真雪の全て。
それ程、愛与が好きなんだ。
……自分の体を顧みないほど。
「どうだ? 真雪」
学校に現れなかったわたしたちを心配して、泰希が様子を見に来てくれていた。
個室の入り口から顔を出した泰希を手招きする。
「……泣いてたのか?」
涙の跡に気付いたのか、
眠る真雪の顔を、心配そうに覗き込んだ泰希の表情が曇った。
「……屋上に行きたいって」
それを聞くなり、泰希は黙り込んでしまった。
屋上は、
真雪と愛与が出逢った場所。
真雪は、
愛与に逢いたいと、泣いた……。