夏のソラの雪
「……知海」
うっすら開いた真雪の瞳に、わたしは慌てて顔を近付けた。
「わたし……愛与に嫌われちゃったのかな……」
弱々しく呟いた瞬間、
再び瞳には涙が溢れ始めた。
「愛与に会いたいよ……」
久しぶりの病院のベッドで、気持ちが不安定になっているのかもしれない。
愛与の名前を何度か囁いた後、
体力の方に限界が訪れたらしく、涙を幾粒か零しながら、
再び静かな寝息を立て始めた。
こんな不安そうな真雪を見るのは、初めてだった。
ずっと屋上で待っていた真雪の元に、愛与は現れなかった。
愛与はもう、真雪のことを忘れようとしているのかもしれない……。
だったらもう、真雪に会わせるべきじゃない……。
同情で真雪に会わせたって、
真雪の為にはならない……。
でも、
例え同情でも真雪が元気になるなら、
会わせるべきなの……?
じっと足元を見つめて黙り込んだわたしの頭を、
「大丈夫か?」
泰希が優しく撫でてくれた。