夏のソラの雪
ちょっと違う味を食ってみようと思っただけなのに、




下手に手なんか出したら、一生引きずられそうだな……。





別にこの真雪に執着する必要なんて全然無い。




むしろ、




ヤリたいときにヤる女なら一杯居るし。




興味本位で近付いてみたけど、やっぱり止めとこ。





「なぁ。俺自主練するから帰るよ」




そんな気はサラサラ無いけど、




せっかく俺に憧れてくれてんだ。




しばらくは、そのまんまで居て欲しいかな。




優越感に浸れるし。




軽く手を上げて立ち去ろうとした俺に、




「がんばってねっ。わたし、ずっとここで見てる」




雪の頬をピンクにした真雪の顔は、嬉しそうだった。




なのに、




発した言葉の響きが、もう俺がここに来ないことを察してるみたいで、




「また、来るよっ」




何故か俺は、次に繋がる言葉を残してしまう。




多分、




「うんっ」




最初に見たみたいに、鼻の付け根をくしゅっとさせて笑う彼女が、




俺は思ったより気に入ってしまったらしい……。
< 7 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop