夏のソラの雪
振り返った俺の目に、小さく微笑んだ真雪の顔。




そして、




「愛与っ」




妙に熱い体が飛び込んできた。




夢中で真雪を抱き返し、伝えたい言葉を頭に思い浮かべようとするのに、




何も出てきてくれない。




それでも、腕の中の真雪が愛しくてもっと力を込めた。




真雪の額に当たった唇が、やけに熱く感じた。




「おまえっ……病院はっ?」





少し乱れた髪に制服……。

体も熱い。




「だって……愛与に会いたかったのっ。わたし、愛与と……」




俺の体にすがりつくように泣き始めた真雪は、




「約束……守りたい」




気持ちが不安定なのか、不安そうに俺を見上げていた……。




「真雪……」





真雪を力いっぱい抱き締めて、受け入れてやりたい。




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