夏のソラの雪
真雪に腕を伸ばしかけたとき、




ポケットの中の携帯がバイブの鈍い音を響かせた。





開いた画面に映し出された名前に、




すぐさま通話ボタンを押して、口を開いた。




「……泰希?」




息を切らした泰希の第一声に、




「真雪が居ないんだ……」




喉が詰まって、声が出なかった。





電話を耳に当てたまま黙り込んでる俺を、




真雪は抱きついて必死に首を左右に振っている。




……病院から抜け出してきたのか。




俺の制服をギュッと掴む真雪の手を握った。




「真雪なら、ここに居る」




答えた声を聞いて、電話越しの泰希も、すぐ傍にいる真雪も驚いたように小さく声を漏らした。





「一時間したら絶対返す。だから……」




不安そうな真雪の体を、空いた右手で抱き寄せる。




「……わかった。待ってるよ」




泰希に礼を告げ、携帯をポケットにしまう。





瞳に涙を溜めた真雪の頬に手を伸ばし、そっと唇に触れた。



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