夏のソラの雪
愛を与える人
久しぶりに現れた俺に、サッカー部が全体が色めきたった。
ベンチにどっかりと腰を下ろしたコーチの元へ向かい、
「お願いしますっ。俺に……チャンスくださいっ」
誰にも下げたことが無いくらい、深く頭を下げた。
ますます色めきたつチームメイト。
みんなの注目の的になってんのは、わかってる。
今まで、どこかバカにしたように思っていたヤツらの中で、
こんなカッコ悪いことして、正直恥ずかしい。
でも、
そんなの関係無い。
構ってられない。
「何でもやりますっ。ボールに触れなくても良いですっ、だから……」
大会のレギュラー戦に出して欲しい。
頭を下げ続ける俺の隣に、
「俺からも……お願いしますっ」
泰希が並んだ。
俺と同じくらい頭を下げて、何度も何度も、
「お願いしますっ」
二人で連呼した。