夏のソラの雪
ずっと黙ったままだったコーチはゆっくり立ち上がり、




「……レギュラー戦まで雑用メインだ。練習に参加したかったら全部こなせ。いいなっ」





下がった頭に、低く荒っぽい言葉を投げつけた。





すれ違い様、




「……良いアタマだな。茶髪のままだが……」





長めの茶髪を切り落とした俺のアタマを、押し付けるように撫でてグラウンドへ歩いていった。




なんだろう……すっげぇカッコ悪いのに、




すっきりした……。




「……大会、絶対行くぞ?」




コーチの背中から泰希に視線を移せば、



こっちを見て、笑ってる。





「……おぅっ」




泰希が軽く掲げた拳に、自分の拳をぶつける。





黄色と青とピンクの糸で編まれたプロミスリングが、




手首で大きく揺れた。





真雪が好きだって言ってくれた俺のサッカー姿。




だから、





サッカーを続いていたらそれだけで、





真雪と繋がっていられる気がした。
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