夏のソラの雪
――あれから数ヶ月。
桜の花びらが薄ピンクの模様をつけはじめたグラウンドに、
黒い筒片手に現れる人波。
写真撮影やら、恩師への感謝の挨拶やら……。
とにかく騒がしいグラウンドを、教室の窓から見下ろしていた。
新しい道を見つけた奴も、
立ち止まったまま動き出せ無い奴も、
有無を言わさず、追い出されるってワケだ……。
「愛与っ」
教室の入り口で、泰希が手招きしてる。
泰希の方へ歩み寄り肩を並べて、最後になるであろう廊下を歩きはじめた。
「にしても……惜しかったよな。推薦」
溜め息混じりに呟いた泰希に、俺はただ黙って視線を向けた。
サッカー部に復帰して、俺は生まれて初めて真剣にサッカーに取り組んだ。