夏のソラの雪
ドアノブを三回叩き、開いたドアの先には、




無機質なコンクリートの床と、




抜けるような青空が広がっていた。





ここに来るのは久しぶりだ……。





真雪を思い出すのが嫌で、ずっと足を遠ざけていた。





グラウンドからは未だ、ガヤガヤと卒業式の余韻に浸る声が聞こえてる。





それを気に留めるでも無く、コンクリートの上に仰向けに寝転んだ。




いくら足を遠ざけてたって、これだけは変わらない。




……ここは真雪と出逢った場所。




俺の気持ちは真雪に別れを告げたあの日から、




真雪を求めて、ここに置いてけぼりになったままだ……。




立ち止まったまま動き出せ無い奴は……、




何を目指して歩けばいいんだ?




こうやって……戻らない思い出に縋るしか出来ない奴は、




どうやったら卒業出来るんだ……。






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