目つきの悪いあいつは

〈ユナ回想〉


そう、あの時はリョウタに腕を引っ張られて次は空き教室に連れてこられたんだった…。

教室に入るなり、掴まれた腕に一気に力が加わり投げ飛ばされた。




「ぎゃんっ！！」




たまたまうまく受け身が取れたのか痛みは不思議とあまり感じなかった。


もう！何するの！！

リョウタを睨もうとする前に既に目の前にしゃがみ込んだ彼がいてびっくりして私は目を丸くしただけだった。


スッと手を伸ばされた時は本気で殴られると思って身体を強張らせたが、何の衝撃もなくあったのはただ肩に優しく触れたリョウタの手の感覚だけだった。


〈ユナ回想おわり〉




きゃーきゃーと勝手に盛り上がっている友人たちは見ると全然食事が進んでいなかった。

早く食べないと時間なくなっちゃうよ、と言うとようやく食べ始めたのだった。