冷徹騎士団長の淑女教育
怯えたように眉を寄せるクレアに、レイチェルは優しく語りかけた。
「あなたはまだ、状況を理解なさっていないようですね。この度のユーリス王宮騎士団の襲撃が引き金となって、バロック王国は降伏しました。つまり、バロック王国は滅びたのです」
クレアは、黙ってレイチェルの話に耳を傾けていた。バロック王国の滅亡は、あの晩燃え盛る王都を目にしたときから、幼いなりにも予想できていたことだった。
「アイヴァン様は、寡黙な方ですので多くを語られませんでしたが……、行き場をなくした子供のあなたを、放ってはおけなかったのでしょう。自国に連れ帰り、面倒を見ることにされたのです」
確かに、あのまま無人となった邸に取り残されても、クレアは路頭に迷うだけだった。アイヴァンはどうやら、騎士の情けで敵国の哀れな少女に手を差し伸べたらしい。
そこで、背後からノックの音が響いた。
「終わったか?」
アイヴァンの声だった。レイチェルは「はい、ちょうど終わったところでございます」と明るい声を上げると、ドアを開けアイヴァンを室内に招き入れた。
「あなたはまだ、状況を理解なさっていないようですね。この度のユーリス王宮騎士団の襲撃が引き金となって、バロック王国は降伏しました。つまり、バロック王国は滅びたのです」
クレアは、黙ってレイチェルの話に耳を傾けていた。バロック王国の滅亡は、あの晩燃え盛る王都を目にしたときから、幼いなりにも予想できていたことだった。
「アイヴァン様は、寡黙な方ですので多くを語られませんでしたが……、行き場をなくした子供のあなたを、放ってはおけなかったのでしょう。自国に連れ帰り、面倒を見ることにされたのです」
確かに、あのまま無人となった邸に取り残されても、クレアは路頭に迷うだけだった。アイヴァンはどうやら、騎士の情けで敵国の哀れな少女に手を差し伸べたらしい。
そこで、背後からノックの音が響いた。
「終わったか?」
アイヴァンの声だった。レイチェルは「はい、ちょうど終わったところでございます」と明るい声を上げると、ドアを開けアイヴァンを室内に招き入れた。