冷徹騎士団長の淑女教育
第八章 最後の戯れ
*
「う…ん……」
窓の外の小鳥のさえずりが耳に心地よい。
うっすらと瞼を上げれば、見慣れた天井が視界に入った。
いつもの朝か、と思ったところで、クレアは跳ねるように上半身を起こした。
昨夜の記憶が、途中でぷつりと途切れている。
たしか、城の廊下でアイヴァンに会い、馬車に乗せられて――。
そこまで記憶を辿ったところで、クレアはみるみる顔を赤くした。
馬車の中で、アイヴァンに愛を告白したことを思い出したのだ。
だがアイヴァンからの答えは、ローズという女性と婚約したという残酷なものだった。
そのうえアイヴァンは、約束を破ってばかりのクレアを、これ以上この屋敷には置いておけないと言った。
昨日のショックが胸に蘇り、気持ちが沈んでいく。
そこで、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
レイチェルだろうと思い、クレアは落ち着いた声で返事をする。いつの間にかドレスから夜着に変わっているのも、眠っている間にレイチェルがしてくれたのだろう。
だが、ドアが開くとともに姿を現したのは、レイチェルではなくアイヴァンだった。
「う…ん……」
窓の外の小鳥のさえずりが耳に心地よい。
うっすらと瞼を上げれば、見慣れた天井が視界に入った。
いつもの朝か、と思ったところで、クレアは跳ねるように上半身を起こした。
昨夜の記憶が、途中でぷつりと途切れている。
たしか、城の廊下でアイヴァンに会い、馬車に乗せられて――。
そこまで記憶を辿ったところで、クレアはみるみる顔を赤くした。
馬車の中で、アイヴァンに愛を告白したことを思い出したのだ。
だがアイヴァンからの答えは、ローズという女性と婚約したという残酷なものだった。
そのうえアイヴァンは、約束を破ってばかりのクレアを、これ以上この屋敷には置いておけないと言った。
昨日のショックが胸に蘇り、気持ちが沈んでいく。
そこで、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
レイチェルだろうと思い、クレアは落ち着いた声で返事をする。いつの間にかドレスから夜着に変わっているのも、眠っている間にレイチェルがしてくれたのだろう。
だが、ドアが開くとともに姿を現したのは、レイチェルではなくアイヴァンだった。