冷徹騎士団長の淑女教育
「アイヴァン様……?」
クレアは慌ててブランケットを胸元まで引き上げ、体を隠した。夫以外の男性に夜着姿を見せるのは、淑女として好ましい行為ではない。
アイヴァンはコツコツとブーツの音を響かせながら、必死にブランケットを引っ張っているクレアの傍に近寄った。そして、隙を感じさせない目でクレアを見下ろす。
アイヴァンは、怖いくらいにいつも通りだった。
無表情で、何を考えているのか分からない。冷ややかな目は、今日もクレアを厳しく採点しているかのようだ。
何を言われるのだろうと、クレアは身構える。
だがアイヴァンが放った言葉は、思いもよらないものだった。
「出かけるから、すぐに支度を」
クレアは、一瞬聞き間違えたのかと耳を疑った。
「すみません。よく、聞こえなかったようで……」
「出かけると言ったんだ。俺と君の二人で」
「ふたり……?」
驚きのあまり、体が固まってしまう。
今まで、日曜日の教会以外はほとんど外出を許されなかったからだ。たまに許されても、必ずレイチェルが付き添っていた。
アイヴァンとともに出かけたことは、今まで一度もない。
クレアは慌ててブランケットを胸元まで引き上げ、体を隠した。夫以外の男性に夜着姿を見せるのは、淑女として好ましい行為ではない。
アイヴァンはコツコツとブーツの音を響かせながら、必死にブランケットを引っ張っているクレアの傍に近寄った。そして、隙を感じさせない目でクレアを見下ろす。
アイヴァンは、怖いくらいにいつも通りだった。
無表情で、何を考えているのか分からない。冷ややかな目は、今日もクレアを厳しく採点しているかのようだ。
何を言われるのだろうと、クレアは身構える。
だがアイヴァンが放った言葉は、思いもよらないものだった。
「出かけるから、すぐに支度を」
クレアは、一瞬聞き間違えたのかと耳を疑った。
「すみません。よく、聞こえなかったようで……」
「出かけると言ったんだ。俺と君の二人で」
「ふたり……?」
驚きのあまり、体が固まってしまう。
今まで、日曜日の教会以外はほとんど外出を許されなかったからだ。たまに許されても、必ずレイチェルが付き添っていた。
アイヴァンとともに出かけたことは、今まで一度もない。