冷徹騎士団長の淑女教育
「エリック大公殿下でしたか。彼も相当な変わり者だ。社交界に出入りするより、平民と戯れることの方を好んでいるのですから。おかげで、よからぬ噂も立ちやすい」
エリックの姿が見えなくなってから、隣で呆れたようにダグラスが言った。
エリックを卑下するようなダグラスの口ぶりに、クレアは違和感を覚えた。穏やかな彼のイメージではなかったからだ。
ふと窓の外を見れば、邸宅がまばらになっている。王都からますます遠ざかっているようだ。
「どちらに向かわれているのですか?」
城の執務官長を務めているダグラスの邸宅は、普通に考えて王都の中心部にあるものだと思っていた。だが、どう考えてもこの馬車は王都に向かっている様子ではない。
「街はずれの別宅です」
「そうですか……」
アイヴァンの場合とは違い、ダグラスはクレアを養女にすると言っていたから、てっきり本宅に連れて行かれるものかと思っていた。アルメリアの中心部にいれば、会えなくともアイヴァンの近くにいることができると思っていたクレアは、残念に思わざるをえない。
だが、がっかりした顔を見せてダグラスを失望させてはならないと、クレアは淑女の顔を取り戻した。
そんなクレアを、ダグラスはやはり満足げに見つめている。
エリックの姿が見えなくなってから、隣で呆れたようにダグラスが言った。
エリックを卑下するようなダグラスの口ぶりに、クレアは違和感を覚えた。穏やかな彼のイメージではなかったからだ。
ふと窓の外を見れば、邸宅がまばらになっている。王都からますます遠ざかっているようだ。
「どちらに向かわれているのですか?」
城の執務官長を務めているダグラスの邸宅は、普通に考えて王都の中心部にあるものだと思っていた。だが、どう考えてもこの馬車は王都に向かっている様子ではない。
「街はずれの別宅です」
「そうですか……」
アイヴァンの場合とは違い、ダグラスはクレアを養女にすると言っていたから、てっきり本宅に連れて行かれるものかと思っていた。アルメリアの中心部にいれば、会えなくともアイヴァンの近くにいることができると思っていたクレアは、残念に思わざるをえない。
だが、がっかりした顔を見せてダグラスを失望させてはならないと、クレアは淑女の顔を取り戻した。
そんなクレアを、ダグラスはやはり満足げに見つめている。