冷徹騎士団長の淑女教育
すぐに宰相リーチェは処刑となり、ハワードは極秘にクレアを育てるようアイヴァンに言い渡した。
聡明な王妃デボラの進言により、ハワードはフィッシャー家が怪しい動きをしていたのを知っていたため、クレアの存在を世に知らせるのを拒否したからだ。
王権を奪還したいと目論んでいるらしきフィッシャー家は、クレアの存在を知ったら、自分たちよりも王位継承権が上であるクレアに危害を加えるかもしれない。
ハワードは、ようやく取り戻した愛する娘を再び失うことを極端に恐れた。
クレアの正体を知っているのは、ハワードが誰よりも信頼を置いているアイヴァンだけだった。
アイヴァンはハワードの言いつけ通り、ベンを除く誰にもクレアの正体を知らせず、クレアの淑女教育に勤しんだ。
クレア自身にも自分の正体が分からぬよう、最全の注意を払った。目上であるクレアに敬語を使わなかったのは、そのためである。公爵子息である自分が孤児であるクレアにうやうやしく接していたら不自然なため、レイチェルに不審がられるかもしれない。
情報は、どこから漏れるかわからない。彼女の痣をブレスレットで隠すようにしたのも、失踪した王女の左手に痣があったことを知っている人間が、上流階級に数人いるからだった。
聡明な王妃デボラの進言により、ハワードはフィッシャー家が怪しい動きをしていたのを知っていたため、クレアの存在を世に知らせるのを拒否したからだ。
王権を奪還したいと目論んでいるらしきフィッシャー家は、クレアの存在を知ったら、自分たちよりも王位継承権が上であるクレアに危害を加えるかもしれない。
ハワードは、ようやく取り戻した愛する娘を再び失うことを極端に恐れた。
クレアの正体を知っているのは、ハワードが誰よりも信頼を置いているアイヴァンだけだった。
アイヴァンはハワードの言いつけ通り、ベンを除く誰にもクレアの正体を知らせず、クレアの淑女教育に勤しんだ。
クレア自身にも自分の正体が分からぬよう、最全の注意を払った。目上であるクレアに敬語を使わなかったのは、そのためである。公爵子息である自分が孤児であるクレアにうやうやしく接していたら不自然なため、レイチェルに不審がられるかもしれない。
情報は、どこから漏れるかわからない。彼女の痣をブレスレットで隠すようにしたのも、失踪した王女の左手に痣があったことを知っている人間が、上流階級に数人いるからだった。