冷徹騎士団長の淑女教育

翌日、夕方になる少し前、クレアは喜び勇んで教会へと出かけた。向かうのは、クレアが住むクロフォード公爵家の別宅からすぐの場所にあるサンベルトリ教会だった。一年前、勉強に嫌気がさしたクレアが逃げ出し行きついた教会だ。

王都アルメリアの第六区域に位置するこの場所は、王都の中でももっとものどかな場所だった。貴族の別荘が軒を連ね、サンベルトリ教会やその周辺に並んだお店は、休暇中の貴族が利用するために建てられたものだった。

貴族たちは基本王都にある本宅にいるため、普段は閑散としている。日曜にもなれば夫人や子供が遊びに訪れるが、それほど人が増えるわけでもない。




クレアは目立たないダークブラウンのドレスに、アイヴァンの言いつけ通り同色のベールを頭からすっぽりとかぶっていた。

少しずつ色が変わってきているとはいえ、赤毛の部類に入る髪はほとんどショールに隠されている。

ステンドグラスが神々しい礼拝堂でミサを終えると、クレアはすぐに教会を出た。