初恋リターンズ。
「また来てね」
にこにこ笑顔の心百合さんに私は少し嬉しくなって
でも、すぐ下を向いた。
「あ…ありがとうございます
でも
お兄ちゃんだけの方が良いと…思います
私…何も覚えてないから……」
みんなのあの表情の意味。
未だに全く分からないけど
私が覚えてないことをみんなが悲しんでいるように感じて
とても申し訳なくなった。
「あっごめんなさい…私変なこと言いました……」
「雫ー!帰ろう」
タイミングがいいのか悪いのか。
お兄ちゃんに呼ばれて心百合さんに頭を下げると、私は小走りで玄関を出た。