初恋リターンズ。
先を歩いていくお兄ちゃんを追いかける。
「待って」
急に腕を引っ張られバランスを崩した。
反射的に目を瞑ったら誰かに受け止められた。
「えっ…えっ?」
背中と肩に感じる体温。
顔を上げると宮村くんが少し怒った顔で私を見ていた。
近い…!
私はすぐ前を向いた。
身体中に響く心音がうるさくて、私は手に力がこもる。
離れようとしたら
肩を掴む力が強くなった気がした。
「さっきのさ
覚えてないとか言ってたやつ」
「あ…」
ごめんなさい…
口から出そうになったけど、今言うべき言葉じゃない気がして下唇を噛んだ。
「姉ちゃんも母さんも
藤崎と話したくて誘ったんだよ
だから気にせずまた来なよ」
怒られると思った。
せっかく誘ってくれた人にあんな言い方無いと思った。
だから、宮村くんの優しい言葉に
一瞬視界が歪んで、ポタっとスカートにシミを作った。