迷子のシンデレラ
「私は家族が欲しかった。
赤ちゃんは絶対に産みたい。
だって……こんなにも大切に思える人の子どもを産むことが出来るなんて今後あり得ないもの。
って……あの、なんかごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって葉山さんの迷惑も考えずに……」
「だから嬉しいって言ってるでしょう?」
胸がいっぱいになって、彼へしがみつく。
言えなかった彼への気持ち。
その気持ちが溢れて胸を焦がした。
葉山は改めて智美を抱きしめて夢見心地に言った。
「もう一度、君を抱いてもいいかな。
一度と言わず、本音を言うなら何度でも」
その『抱いて』が何を表すのか気がついて胸が苦しくなる。
「あの、だって、私、あの頃とは赤ちゃんを産んで体型も変わってしまって……だから、あの……」
見上げた先の葉山は怒った表情をしていて思わず肩を竦めた。
「その程度の想いだと思ってるの?
僕がどれたけ君を……」
プリプリしながらも葉山は優しく智美の頬にキスをする。