迷子のシンデレラ

「どう、したんですか?」

 グズグズが、だんだんと本格的に泣き始める琉依を懸命にあやす智美へ手を伸ばした。

「あの、夜泣きを最近するので……」

「そう。大変だったね」

「だから、その……」

 自分だって彼と恋人のような時間を過ごしたい。
 やっと想いが通じて……けれど今はもう恋人を通り越して母親だ。

 自分たちの想いを優先して琉依を放っておくわけにはいかない。
 だって琉依はこんなに小さくて……何よりも大切で……。

 もしもそのせいで彼が自分を見限ってしまったとしても。
 夢の続きを見るにしては、あまりにも二人の関係は変わってしまった。

 やはり今までは現実ではなく、甘い夢の続き。
 夢を見続けることは不可能だと琉依が教えてくれているのだ。

「琉依を貸して」

 どうするつもりだろうか。
 智美はグズグズ泣いている琉依を胸に抱き、葉山へ不安げな顔を向ける。

 葉山はため息を吐いた。

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