迷子のシンデレラ
「目の下にクマ」
「え?」
「悪いと思ってる。
今まで知らなかったとはいえ、一人で琉依の世話を任せっきりにしていた。
大変だったろう?」
思わぬ労いの言葉に鼻の奥がツンとする。
「ほら。また泣いたりしたら可愛い顔が台無しだ。
僕があやすから智美ちゃんは寝るといい」
葉山は智美が抱く琉依へ優しい視線を向けて指の腹で頬をつついた。
琉依はイヤイヤと拒否をして泣いているのに葉山は嬉しそうな顔をしている。
「どうしても僕じゃダメだったら、その時はお願いするから。だから、ね?」
琉依と同じ瞳で優しく微笑む彼。
本当は彼の前から逃げずに彼と一緒に妊娠も出産も喜びたかった。