迷子のシンデレラ
「へぇ。そうやってあげるんだ」
興味津々の様子でミルクを飲んでいる琉依を見つめている。
「僕も覚えなきゃね」
「本当に私たちと家族になるんですか?」
「何を今さら……」
智美だって三人で寝ている時は幸せだなぁと思っていた。
あの、着信を見るまでは。
彼は起きてから携帯を手にしてチラッと見たようだったが、特に電話を掛けに行く様子は見られない。
彼はよくても彼の父親が自分たちのことをどう思っているのか分からない。
彼は葉山商事の御曹司で、それ相応の婚約者がいたわけで……。
「智美ちゃん?」
「あ、はい」
「琉依。飲み終わったんじゃない?」
空の哺乳瓶をハグハグしている琉依に気づいて慌てて抱き上げて背中をトントンとたたく。
ゲップが出ると葉山は笑い声をあげた。
「小さくても立派なゲップなんだね。
これは将来大物になるよ」
葉山は自然に琉依を受け取って抱っこをしている。
葉山に抱かれた琉依はとろんとした目をつむってうとうとし始めた。