迷子のシンデレラ

 琉依を布団の上に寝かせた葉山が智美の手を取った。
 そして腕の中に抱き寄せられると、彼のポケットが振動している。

「電話……じゃないですか?」

「あぁ。いい」

 熱い眼差しを向ける彼のエメラルドグリーンに囚われて目が反らせない。
 その間もポケットは振動を続けている。

「お願い……出て」

 悲痛な声に彼は舌打ちをして乱暴に携帯を手にした。

「朝っぱらから何?
 俺はあんたに用はない」

 舌打ちに、俺に、あんた。

 葉山のイメージからかけ離れた姿に目を丸くする。

「あぁ。分かってる。分かってるよ」

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