迷子のシンデレラ
車は目的地に着いたようで駐車されると葉山は体ごと後ろを向いて腕を伸ばした。
「あ、あの、待って」
シートの間から抱き寄せられて、ひどく窮屈なのに幸せを感じて困る。
「早く済ませて二人っきりになりたいよ。
あ、いや。三人だ」
葉山の視線の先にいる琉依を見て、それから見つめ合って微笑んだ。
自然に顔同士が近づいて唇が重なる。
「ひどい言葉をかけられるかもしれない。
それでも必ず智美の側にいる。
だから僕を信じてくれる?」
真摯で真っ直ぐな瞳に見つめられて控えめに頷いた。
何もかもを放り投げて彼の胸に飛び込みたい。
その思いを心の奥に仕舞い込んで、車を降りた。
どのような結果になろうとも成し遂げなければならない。
彼の幸せの為に。